お客様からのお問い合わせメール。
よくあるのが次のようなお問い合わせです。
「大学の2年生です。
来年の春から中国に留学したいと思います。
おすすめの大学を紹介してください!」
お客様に文句を言うわけではないのですが。
正直、こういうメールが一番困るんです。
だって、ご紹介のしようがないんですよ。
私がこの人について知っているのは、
●大学2年生
●来年の春から留学
これだけです。
たったこれだけの情報でこの人にベストの大学を紹介。
いや、無理ですよ。
もし他にも情報があれば、
例えば、
●留学の目的は何か?
●現在の中国語のレベルは?
●どんな人なのか?
●大学に求める条件は何か?
●予算はどれくらいか?
●寒くても大丈夫か?
●辛いものが苦手とかないか?
●ド田舎でも耐えられるか?
などなどなど。
そういった情報があれば、おすすめのしようもあります。
ですが、
●大学2年生
●来年の春から留学
だけじゃねぇ。
さすがにおすすめしようがありません。
もちろんおすすめしようと思えばできますよ。
これでも私、中国留学のプロですから、
どんな大学でも魅力的に語ることはお手の物です。
美辞麗句をちりばめて、
この人をその大学に入れる。
やろうと思えばできます。
けど、そんな商売でお金もらってもねぇ。
別にそこまで生活に苦労してるわけでもないですし。
裕福ではありませんけどね。笑
正直、そこまでして金を儲けようとは思いません。
ですので、情報量が不十分なお客様には、
大学のご紹介はしません。
その代わり、
いつもこんなふうに返信します。
「大学に求める条件を、箇条書き、優先順位順でご指示ください。」
私はこれが、留学カウンセラーのあるべき姿勢であり、
留学に携わる者が持つべき最低限の倫理だと思っています。
ところが、留学情報サイトを見ていると、
●絶対のおすすめ「○×大学」
●人気ランキングナンバー1「△□大学」
こんなのをよく見かけます。
これ、まったく意味ないです。
断言しますが、100%意味ない。
なぜか?
★基準が示されていない
みなさん、よく考えてみてください。
「絶対のおすすめ」って、
何を基準におすすめしてるのでしょうか?
何を基準にナンバー1って言ってるのでしょうか?
例えば、
●上海のド真ん中にあって便利
●知名度が高い
●観光スポットにも近い
こういう基準で「絶対のおすすめ」だとしましょう。
この大学、
誰にとっても「おすすめ」ですか?
●極端に便利じゃなくても良い
●知名度は気にしない
●旅行じゃないんだから観光スポットなんてどうでも良い
そんな人にとっては基準がまったくズレている。
「絶対のおすすめ」じゃなくて「どーでも良い」大学です。
さらにさらに、
●都会のど真ん中とか騒々しいところは苦手
●知名度が高いと留学生が多くなりすぎるからイヤ
●観光スポットの近くは物価が高いから困る
こういう人にとっては、
「絶対のおすすめ」どころか、
「絶対に最悪」の大学です。
「基準」がない「おすすめ」なんて、
まったく意味がないんです。
それから、こういうメールもよくいただきます。
「中国人留学生の友だちがいるんですが、
彼女が○×大学がおすすめだと言ってました。
そこに留学しようと思うんですけど、まだ間に合いますか?」
間に合わない方が良いでしょうね。
この人にとっては。
自分で大学選びの基準を作って、
その基準を中国人の友人に示して、
彼女がその基準に照らし合わせておすすめしてくれた。
それならば、この人にとって良い大学です。
例えば、1人部屋が取れて、日本人が少なくて、学費が安い。
3つの基準を友人に伝えた。
そして友人がその基準に合う大学を探してすすめてくれた。
だったらOKでしょう。
でもそんなことをする人ってめったにいません。
ほとんどの人は漠然と、
「留学するんだけど、どの大学が良い?」
って聞いて、
聞かれた相手も基準とか確かめずに、
「あぁ、○×大学が良いよ~」
たいていはこのパターンです。
もちろん、相手は相手なりの基準で選んでます。
中国で有名だとか、偏差値が高いとか、
自分のふるさとに近いとか。
相手なりに選ぶ基準があって、
その基準に合うから良い大学と思ってすすめてくれています。
でも、その基準が自分の求める基準と違ってたらどうしますか?
間違いなく、最悪の留学になりますよ。
「基準が明示されていないおすすめは百害あって一利なし」
このこと、絶対に忘れないでください。
「おすすめの大学」
これにはもう一つとんでもない落とし穴があります。
それは、
★語られていない部分がある
どういうことか?
例えば、友人がある大学をすすめてくれた。
どうしてその大学がおすすめなの?と聞くと、
彼女はこう答えたとしましょう。
●上海のど真ん中にあって便利
●知名度が高い
●観光スポットにも近い
彼女は決してウソは付いていません。
すべて間違いのない事実です。
そして、便利で有名で観光もできる。
うん、この大学良い!ってあなたが決めたとする。
が、しかし、実はこの大学、
●学費が高い
●日本人と韓国人で全体の8割
●1クラス人数が平均で25人
●寮の一人部屋を予約しにくい
●中国人学生は郊外の新キャンパスにいるので交流しにくい
実はこれもまたこの大学についての事実だとしたらどうします?
この事実をもし知っていたら、
はたしてこの人はこの大学を選んだでしょうか?
別に友人は悪意があって隠していたわけではありません。
学費が高いことを知らなかっただけかもしれない。
中国人学生の交流とか気にもしてなかっただけかもしれない。
でも、実は語られていない事実があった。
それも、非常に良くない事実が。
そしてそれを知らずに留学先を決めてしまったら?
ね、ちょっと怖いでしょ?
これは、中国人留学生や友人や大学の先輩や、
そういった身の周りの人に聞いた場合のことです。
ですが、留学サイトに並ぶおすすめの大学の中には、
良い点だけを並べ、
悪い点は意識的に語っていないものが非常に多いです。
良い点だけを並べ、悪い点を隠した「おすすめ」なんです。
例えば、
●上海のど真ん中にあって便利
●知名度も抜群に高い
●でも学費は高い
●1クラス人数もかなり多い
良い点、悪い点すべてを語った上で、
「こういったデメリットも確かにあるが、
便利さや知名度を求める人にはおすすめ」
そう書いてあるならば、
この「おすすめ」には価値があります。
ですが、
ほとんどはそうなっていません。
一方的に「良い点だけ」が語られている。
悪い点は語られていない。
ほとんどのおすすめがそうです。
「おすすめ」には語られていない部分がある。
このことも忘れてはいけません。
それから「人気ランキング」
これもまったく無意味です。
100人が○×大学が良いと評価した。
ならば、「一般論として良い大学」とは言えるでしょう。
ですが、
あなたの基準はその100人と本当に同じですか?
同じかどうかを確かめずに、
違うかもしれないリスクに年間100万を投じますか?
さらに、
人気ランキングには大きな落とし穴があります。
スーパービッグな落とし穴が。
ランキングが人気投票だとして、
投票するのは留学経験者ですよね。
○×大学に留学した山本さん。
この山本さん、留学したことがあるのは○×大学だけです。
○×大学以外は知らないです。
留学期間中に他の大学以外に行く機会なんて皆無ですから。
で、留学ってそれなりに楽しいんです。
どんな大学に行こうと、
それなりに満足できるんです。
他の大学を知っていれば比較ができます。
実は○×大学より良い大学があることも分かる。
そうなれば、▲■大学に投票したかもしれない。
けど、○×大学しか知らない。
そして、それなりに楽しい留学生活だった。
だから、○×大学に投票した。
これが人気ランキングの実態です。
他大学と比較した上での、
純粋な満足度ランキングではないんです。
その結果どうなるか?
実にシンプルです。
留学生数が多い大学が上位に来ます。
だって、投票する人が多くなるから。
すっごい単純でしょ。笑
人気ランキングをよく見てください。
ほとんどが大都市圏のメジャー大学、
つまり、
留学生が多い大学ばかりです。
さらにウラを明かしますと。
人気ランキングを作っているのは、
ランキングを載せている留学業者ですよね。
その留学業者が本当にアンケートを取っているとしましょう。
アンケートに答えているのはその業者のお客さんです。
ってことは、ランキング上位にある大学とは、
その業者のお客さんがたくさん留学している大学です。
なぜたくさん留学しているか。
その業者がたくさんのお客さんにお勧めしているからです。
業者にとって都合の良い大学に勧めている。
いえいえ、決してそういう意味ではありません。
でも、
ランキング上位の大学にお客さんがたくさん留学し、
そのお客さんが投票するからまたランキング上位になる。
そしてそのランキングを見てたくさんのお客さんが留学し、
そのお客さんがまた投票してランキング上位に。
つまり、永遠に順位が変わらないランキングです。
それって変でしょ?
時代が変わり、状況が変わり、環境が変わっていく。
なのにランキングが変わらない。
そんなランキングを頼りに留学先を選ぶなんて、
どう考えても自殺行為です。
ついでにもう一つ。
「留学経験者の体験談」
「留学生のブログ」
これらも要注意です。
実際にその大学に留学した人の体験談です。
それに価値がないとは言いません。
ですが、
そこに書かれていることは、その大学の一部です。
そして、書いた人の基準で語られています。
例えば、ブログにこう書かれていたとしましょう。
「文法の先生が最悪」
では、この大学は文法を学ぶには適していないのか?
決してそうとは限りません。
まず第一に、何を基準に最悪と言っているのか。
もしかしたら、授業中に私語をして注意された。
それでムカツイて、最悪って言ってるのかもしれない。
第二に、文法の先生って何人もいるわけです。
ブログの筆者のクラスの先生は最悪かもしれないけれど、
他の先生は最高かもしれない。
ですから体験談やブログを読む際にも、
●何を基準に評価しているのか
●語られていない部分に何があるのか
こういった視点が必要です。
そしてさらに、
体験談やブログに書かれていること、
それらはすべて「過去」の情報です。
このメルマガの読者の方の中にも、
体験談、ブログを読んだことがある方。
それを基に大学を選びかけてる方がいらっしゃると思います。
そんなみなさんに聞いてみたい。
その体験談、ブログが書かれた「日付」を見たことはありますか?
恐らく、ほとんどの人が日付なんて見てないはずです。
ブログに、寮がキレイ♪って書かれている。
あ、そうなんだ、寮がキレイなこの大学良いな~。
そうやって留学先を選んでしまう。
そして現地に着いて呆然とするんです。
ぜんぜんキレイじゃない。むしろボロボロ。
だまされた~!ってプンプン怒っている。
でもね、もしそのブログが書かれたのが10年前だったら?
そりゃ10年も経てばボロくもなるでしょう。
別にブログの筆者がだましたわけじゃありません。
日付をちゃんとチェックせずに、
現時点でキレイなんだって勝手に判断したこの人が悪いんです。
お気の毒ですが、自業自得です。
体験談やブログに書かれていることって、
すべて過去のことなんです。
今でもその通りである保証なんてどこにもありません。
体験談やブログを読むときには、
必ず日付をチェックするようにして下さい。
「おすすめ大学」
「人気ランキング」
「知り合いのおすすめ」
「経験者の体験談」
それらに乗っかった方が楽です。
大学選びで頭を使う必要もありません。
ですが、
楽して得られるものは所詮はその程度です。
中国留学って、貴重な時間と、
ちょっとやそっとじゃないお金を投じるんです。
手を抜かず、楽をせず、
真剣にジックリ時間をかけて、
他の誰でもないあなた自身の基準で、
あなたにベストな大学を選んでください。
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【今週のまとめ】
1) おすすめの基準は人によって違う
2) おすすめには語られていない部分がある
3) 体験談、ブログにも要注意
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